Zapier から n8n に乗り換える手順と、移す前に確認すること(Make との比較つき)

Zap を棚卸しし、1本だけ n8n で作って並行運転し、結果を見比べてから切り替え、最後に Zapier を Free に戻します。単位の読み替えと、乗り換えないほうがよい場合もまとめました。

(2026年10月17日更新)

業務自動化の受託をしているエンジニアとして、n8n(セルフホスト版 2.43.7)で kintone → Chatwork 通知を、公式の仕様に沿った模擬サーバーで動かして確かめた内容をもとにまとめました。Zapier と Make は使っておらず、その部分は公式情報を確認した解説です。 この記事では、移す先として n8n を中心に書き、Make は比較のために触れます。

結論:棚卸し → 1本だけ試す → 並行運転 → 切り替え → Zapier の解約

  • 移す前に、Zap ごとに「トリガー・アクション・月のタスク数」を表にします。これが新しいツールでの使用量の見積もりの元になります
  • Zapier の「タスク」の数のまま比べると、見込みがずれます。3つのツールは数え方が違うためです
  • 1本ずつ移し、並行運転して結果を見比べてから切り替えます。Zapier の解約は、新しい側が安定してからにします
  • 社内に保守する人がいない、Zapier にしかない連携を使っている、という場合は乗り換えないほうが無難です

どちらが安くなるかの試算は「n8n と Make の料金比較」にまとめています。この記事では、移す作業と確認事項に絞ります。

手順1:Zap を棚卸しする

Zap ごとに、次の表を埋めます。Zapier の管理画面で、Zap の中身と月のタスク数を見ながら書き出してください。

Zap の名前 トリガー(アプリと動作) アクション(アプリと動作) 条件(Filter・Paths) 月のタスク数 移す先の候補
例: 新規案件の通知 kintone「New Record」 Chatwork「Send Message」 なし 300 n8n か Make

Zapier の kintone アプリにはトリガー「New Record」、Chatwork アプリにはアクション「Send Message」があります。Chatwork アプリにはトリガーがありません(出典: Zapier の kintone・Chatwork アプリのページ、2026-10-16 確認)。

手順2:n8n の部品に置き換える

棚卸しした Zap の部品を、移す先の部品に読み替えます。n8n の列は検証で動かしたもの、Make の列は公式の一覧で確認しただけのものです。

Zapier での部品 n8n で使う部品 Make で使う部品(公式情報のみ)
kintone「New Record」(トリガー) kintone のノードはない。Schedule Trigger+HTTP Request で取得するか、kintone の Webhook を Webhook ノードで受ける(取得と Webhook の受信は検証で確認) kintone「Watch Records」
Chatwork「Send Message」 HTTP Request で API を直接呼ぶ(検証で確認) Chatwork「Create a Room Message」
LINE への通知 HTTP Request で Messaging API を呼ぶ(検証で確認) LINE「Send a Push Message」
Filter・Paths(条件・分岐) IF ノード(検証で確認) Router(分岐。クレジットを使わない)
Formatter(データの整形) Code ノードなど(検証で、レコードを1件ずつに分けるのに使用) 本記事では未確認

LINE Notify を使っていないか確かめる

Zap で LINE Notify を使っている場合は、そのままでは移せません。LINE Notify は2025年3月31日に終了しました(出典: LINE Notify 終了のお知らせ)。移すときは、LINE の Messaging API で送る形に作り直します。Make の LINE アプリには LINE Notify 用の「Send a Notification」も残っていますが、使いません。

手順3:タスク数を新しい単位に直す

Zapier n8n Make
単位 task execution credit
数えるもの 成功したアクション1回 ワークフローの実行1回 モジュールの実行1回
トリガー 数えない 実行1回の中に含む 1回の実行で1クレジット。新しいデータがない回も使う
分岐・絞り込み Filter・Paths・Formatter は数えない 実行1回の中に含む Router・エラー処理は数えない
失敗したもの 数えない Cloud では失敗した実行を数えない エラーで止まったモジュールの扱いは未確認

(出典: Zapier 料金ページ、n8n 料金ページ、n8n サポート記事、Make ヘルプ、いずれも2026-10-16 確認)

棚卸しの例(kintone の新規レコードを Chatwork に通知、月300件)で直すと、次のようになります。

ツール 数え方 月の使用量の目安
Zapier アクション1つ × 300件。トリガーは数えない 300 tasks
n8n 確認の回数(1時間ごとなら月720)。件数では増えない 720 executions
Make 確認の回数(1時間ごとなら月720)+ 投稿 300件 約1,020クレジット

n8n・Make の数字は、公式の数え方を当てはめた見積もりです。Make では動かしていません。

  • n8n は作り方で回数が変わります。 まとめて取得する作りなら確認の回数だけですが、Webhook で1件ずつ受ける作りなら件数と同じ回数です。件数が少ないなら、Webhook で受けるほうが回数は少なくなります
  • Zapier では数えないトリガーが、Make では数えられます。 定期的に確認する作りでは、新しいデータがない回も1クレジットを使います。件数が少ない Zap ほど、Zapier の task 数より Make のクレジットが多く見えます

手順4:1本だけ n8n で作って試す

いちばん単純な Zap を1本選び、移す先で作ります。

  • n8n は Cloud の14日間の試用で試せます。試用中の上限は1,000実行です。アップグレードしないと、期限後にワークスペースが削除されます。ワークフローは試用終了後90日間ダウンロードできます(出典: n8n Docs「Cloud free trial」、2026-10-16 確認)。料金とプランは公式の料金ページ(https://n8n.io/pricing/)で確認できます
  • サーバーを保守できる人がいるなら、セルフホスト版でも試せます。違いは「n8n Cloud とセルフホスト版、どちらを選ぶか」にまとめました
  • Make と比べたい場合は、Make の Free(月1,000クレジット)でも試せます(https://www.make.com/)

Chatwork の API は、フリープランでも使えます。組織契約の場合は、組織管理者への申請が必要です(出典: Chatwork ヘルプ「フリープランの制限は?」、2026-10-16 確認)。

n8n で作るときに検証で確かめたこと

n8n セルフホスト版(2.43.7)で、模擬サーバーにつないで確かめたことです。

  • kintone のトークンが誤っていると、n8n は「401」と kintone の認証エラーコード「CB_WA01」で止まりました。まずトークンを疑ってください
  • Webhook で受けた値は、body の下に入りました(例: $json.body.name)
  • 前のノードから来た件数ぶん、HTTP Request ノードが自動で繰り返されました。ループを組む必要はありませんでした

公式ドキュメントで確認した注意

  • Chatwork への投稿は、JSON ではなくフォーム形式(body=…)で送ります(出典: Chatwork API ドキュメント、2026-10-16 確認)
  • ワークフローを JSON で書き出すと、認証情報の名前と ID が含まれます。人に渡す前に消してください(出典: n8n Docs「Export and import workflows」、2026-10-16 確認)
  • n8n 2.x では、ワークフローを本番で動かす操作は「有効化」ではなく「公開(publish)」と呼びます(出典: n8n Docs「v2.0 Breaking changes」)

手順5:並行運転して、結果を見比べてから切り替える

  1. 並行運転する。 新しい側の送り先はテスト用のルームにして、二重通知を防ぎます
  2. 結果を見比べる。 数日分、Zapier と新しい側で同じ件数が処理されたか、通知の中身が同じかを確かめます
  3. Zap をオフにする。 先に Zapier 側を止めます
  4. 新しい側を本番にする。 送り先を本番のルームに変えます。n8n ではワークフローを公開(publish)します

見比べる手順を省かないのには理由があります。受託の現場では、自動化した結果を、それまで人が作っていた正解のシートと項目ごとに突き合わせ、一致を確かめてから引き渡すようにしています。また別の案件では、同じデータでも CSV で受け取ったときと API で受け取ったときで値の表し方が違い、「CSV で動いていたから API でも大丈夫」とは言えないことがありました。ツールを移すと、データの受け取り方も変わることがあります。件数だけでなく中身まで見比べてから切り替えてください。

手順6:Zapier のプランを下げる・解約する

新しい側がしばらく安定してから、Zapier のプランを見直します。手順は公式ヘルプのとおりです(出典: Zapier ヘルプ、2026-10-16 確認)。

解約(Free に戻す)

Zapier には、解約専用のボタンがありません。Free プランに切り替えることが解約に当たります。

  1. Billing and usage ページを開く
  2. 「Manage」を押す
  3. Free プランを選ぶ

切り替わるのは、今の請求期間の終わりです。

下位プランへのダウングレード

  1. Billing and usage ページで「Manage」を押す
  2. 下位のプランを選ぶ
  3. Checkout まで進めて確定する(最後まで進めないと予約されません)

切り替わるのは請求期間の終わりです。Billing and usage ページの上部に切り替え日のバナーが出ます。取り消すときは、バナーの「Cancel downgrade」を押します。返金の扱いは、本記事では確認していません。

乗り換えないほうがよいケース

ケース 理由
Zapier にしかない連携を使っている 移す先で HTTP で API を直接呼ぶ必要があり、手間が増える
社内に保守する人がいない 止まったときに直せない。API の仕様を読む場面が増える
Zapier の Free(100 tasks/月、2ステップの Zap まで)で収まっている 乗り換えで下がる費用がない
移す手間が差額に見合わない 差額は料金比較の記事で試算できる

参考までに、Zapier の有料の入口は Professional(750 tasks/月)で、年払い $19.99、月払い $29.99 です(出典: Zapier 料金ページ、2026-10-16 確認)。n8n Cloud の Starter(年払い 20€)は、これより月額が高くなることがあります。月の量が少ないと、乗り換えても大きくは安くなりません。

社内にサーバーを保守できる人がいるなら、無料のセルフホスト版 n8n(Community Edition)も選べます。自社の業務での利用はライセンス上認められています。サーバー代と保守の手間は自分で持つことになります。

移す Zap が多いと、作り直しと確認に時間がかかります。差額と作業時間を比べて決めてください。

まとめ

  • まず Zap を棚卸しし、トリガー・アクション・月のタスク数を表にします
  • Zapier の部品は、n8n の HTTP Request・IF・Code ノード(または Make のアプリ)に置き換えます
  • 数え方が違うので、Zapier の task 数のまま比べません
  • 1本ずつ試し、並行運転で中身まで見比べてから切り替え、最後に Zapier を Free に戻します

実際の件数で試すなら、n8n Cloud の14日間の無料試用か、Make の無料プランから始められます。

参考にした公式情報

移行のご相談

Zap の棚卸しから n8n への作り直し、並行運転での突き合わせまでをまとめて任せたい方はご相談ください。合同会社frectas では、移す価値のある Zap と残したほうがよい Zap を切り分けたうえで、移行と運用の引き継ぎまで担当します。お問い合わせからご連絡ください。

よくある質問

Zapier から n8n に移すとき、何から始めればよいですか?

Zap ごとにトリガー・アクション・条件・月のタスク数を表にする棚卸しから始めます。この表が、移す先の部品の読み替えと使用量の見積もりの元になります。

Zapier のタスク数で n8n や Make の料金を見積もってよいですか?

そのままでは見込みがずれます。Zapier は成功したアクション1回、Make はモジュールの実行1回(トリガーも数える)、n8n はワークフローの実行1回と、数え方が違うためです。

Zapier はどうやって解約しますか?

解約専用のボタンはなく、Billing and usage ページの「Manage」から Free プランに切り替えることが解約に当たります。切り替わるのは今の請求期間の終わりです(2026-10-16 確認)。

乗り換えないほうがよいのはどんな場合ですか?

Zapier にしかない連携を使っている、社内に保守する人がいない、Zapier の Free で収まっている、移す手間が差額に見合わない、といった場合です。

まずはお気軽にご相談ください

30分の無料業務診断では、業務の流れを伺い、システムや AI で置き換えられそうな部分と、費用の大まかな目安をお伝えします(内容によっては、後日のお見積もりになります)。「何から手をつければいいか分からない」段階でも大丈夫です。