業務自動化の受託をしているエンジニアとして、n8n(セルフホスト版 2.43.7。2026-10-16 時点の最新の安定版)を Docker で動かして確かめた手順です。最初に 1.121.0 で検証し、2.43.7 でも同じ結果になりました。LINE の API は公式ドキュメントで仕様を確認し、送信内容は模擬サーバーで検証しました。本物の LINE には接続していません。
結論
- LINE Notify は2025年3月31日に終了しました(出典: LINE Notify 終了のお知らせ、2026-10-16 確認)。n8n の Line ノードも LINE Notify 用で、n8n 1.64.0 から非推奨です
- 代わりは LINE公式アカウント + Messaging API のプッシュメッセージです
- n8n では、Webhook ノードでフォームの内容を受け、HTTP Request ノードで LINE の API を呼びます
- 受けた値は
$json.nameではなく$json.body.nameに入ります。ここが一番のつまずき点です
検証の範囲
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| セルフホストで確かめたこと(2.43.7・1.121.0) | Webhook でフォームの値を受けること、LINE(模擬)へのプッシュの中身、受けた値が body の下に入ること |
| 公式情報で確認しただけのこと | LINE Notify の終了、Messaging API の仕様、通数の数え方、LINE公式アカウントの料金、チャネルアクセストークンとユーザー ID の確認場所 |
| 確かめていないこと | 本物の LINE への送信、LINE Developers コンソールの操作、インターネット越しのフォーム送信 |
LINE Notify との違い
| 項目 | LINE Notify(終了) | Messaging API |
|---|---|---|
| 必要なもの | 個人のトークン | LINE公式アカウントとチャネル |
| 送り先 | — | 友だち追加したユーザー、公式アカウントが入ったグループなど |
| 費用 | — | 月の無料通数あり。超えると有料プラン |
プッシュメッセージを送れる相手は、公式アカウントを友だち追加しているユーザー、公式アカウントが参加しているグループ・複数人トークなどです。ブロック中や友だちでない相手には、200(成功)が返っても届きません(出典: Messaging API リファレンス、2026-10-16 確認)。
わたしたちは受託で、LINE公式アカウントの顧客管理・配信の仕組みの開発(チームの一員として)や、見守りの仕組みでリスクが高いときに家族へ LINE で知らせる通知を Messaging API で作ってきました。フォームの通知は、その中でも一番小さな入口です。
LINE公式アカウントの料金
| プラン | 月額(税別) | 無料メッセージ通数 | 追加メッセージ |
|---|---|---|---|
| コミュニケーションプラン | ¥0 | 200通 | 不可 |
| ライトプラン | ¥5,000 | 5,000通 | 不可 |
| スタンダードプラン | ¥15,000 | 30,000通 | 従量課金(~¥3/通、税別) |
(出典: LINE公式アカウント 料金プラン、2026-10-16 確認)。スタンダードプランの追加メッセージ料金は、2026年10月1日の改定後、月20万通まで1通3円、20万通を超えた分は1通2.5円です(税別。出典: LINE ヤフー for Business のお知らせ、2026-10-16 確認)。
プッシュメッセージは、無料メッセージ通数に数えられます。 Messaging API の料金のページでは、通数は「メッセージの送信対象となった人数」で数えるとされ、数える対象にプッシュメッセージが含まれます。数えないのは応答メッセージです(出典: Messaging API ドキュメント「メッセージ配信数の数え方」、2026-10-16 確認)。
- 1人宛てに1回送ると1通です。1回のリクエストで吹き出しを複数送っても、通数は変わりません
- 問い合わせ1件につき1人へ通知するなら、月200件以内でコミュニケーションプラン(¥0)に収まる計算です
- 無料通数を超えて送ろうとすると、エラーが返って送信されません(追加メッセージ不可のプラン)
公式の例では、5人いるトークルームに1回送ると5通です。グループ宛ても参加人数分と読むのが自然ですが、グループを名指しした公式の記載は確認できていません。グループに通知する場合は、人数分を数える前提で見積もってください。
手順1: LINE 側を準備する
- LINE公式アカウントを作る
- LINE Developers コンソールで、そのアカウントの Messaging API チャネルを用意する
- チャネルの[Messaging API設定]タブで、長期のチャネルアクセストークン(API を呼ぶための鍵)を発行して控える
- 通知を受けたい人が、公式アカウントを友だち追加する
- 送り先のユーザー ID(
Uで始まる ID)を控える。自分に送るなら、[チャネル基本設定]タブの[あなたのユーザーID]で確認できる
(出典: LINE Developers「チャネルアクセストークン」「ユーザーIDを取得する」、2026-10-16 確認)。長期のチャネルアクセストークンは有効期限がなく、チャネルごとに1つです。再発行すると、それまでのトークンは無効になります。[あなたのユーザーID]は、LINE アカウントがビジネス ID に連携されている場合だけ表示されます。自分以外のユーザー ID は、この画面では分かりません。グループに送りたい場合は、公式アカウントをグループに招待し、グループ ID を to に指定します。
手順2: n8n にワークフローを作る
構成は2ノードです。
| 順 | ノード | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | Webhook | フォームから送られた内容を受ける |
| 2 | HTTP Request | LINE にプッシュメッセージを送る |
- Webhook ノードを置き、HTTP Method を「POST」、Path を
inquiryにする - Respond を「Immediately」にする(受け取ったらすぐ応答を返す設定)
- HTTP Request ノードを置き、Method「POST」、URL
https://api.line.me/v2/bot/message/pushにする - Authentication で「Header auth」の Credential を作り、Name
Authorization、ValueBearer (チャネルアクセストークン)を入れる - Body を JSON にし、次の形で送る
{
"to": "(ユーザー ID)",
"messages": [
{ "type": "text", "text": "問い合わせがありました\nお名前: {{ $json.body.name }}\n内容: {{ $json.body.message }}" }
]
}
messages は一度に5件までです。Credentials は、トークンを n8n に保管する機能です。ワークフローに直接書かずに済みます。
検証で確かめたこと
curlでフォームの代わりに{"name":"テスト太郎",…}を POST した- n8n はすぐに
{"message":"Workflow was started"}を返した - LINE(模擬)に
POST /v2/bot/message/pushが届いた。ヘッダーはAuthorization: Bearer …とContent-Type: application/json - 本文は
{"to":"U…","messages":[{"type":"text","text":"問い合わせがありました\nお名前: テスト太郎\n内容: 見積もりをお願いします"}]}だった
つまずき点: 値は body の下に入る
Webhook ノードが受けた値は、$json.body.name のように body の下に入ります。$json.name と書くと空になります。Webhook ノードの出力にはヘッダーやクエリも一緒に入るためです。
手順3: フォームから n8n を呼べるようにする
フォームは、インターネット上から n8n の Webhook の URL に POST できる必要があります。
| 使い方 | 必要な作業 |
|---|---|
| n8n Cloud | なし。Webhook ノードに表示される本番用 URL をそのまま使える |
| セルフホスト(社内 PC・サーバー) | n8n を HTTPS の URL でインターネットに公開する設定が必要 |
セルフホストでは、リバースプロキシ(外からの通信を n8n に中継する仕組み)などで公開し、n8n にその URL を知らせる設定をします。環境変数 N8N_WEBHOOK_URL に公開 URL(例: https://n8n.example.com/)を指定します。以前の WEBHOOK_URL は n8n 2.35.0 から非推奨で、使うと警告が出ます(出典: n8n Docs「Configure webhook URLs with reverse proxy」、2026-10-16 確認)。公開すると、n8n の画面もインターネットから見える状態になりえます。管理者パスワードと更新の管理が欠かせません。公開時の確認項目は「n8n を社内に導入するときのセキュリティ確認項目」にまとめました。
サーバーの公開や管理を避けたいなら、n8n Cloud が手軽です。14日間の無料試用があり、上限は1,000 executions です(出典: n8n Docs Cloud free trial、2026-10-16 確認)。有料の Starter は月2,500 executions で「20€ /mo, billed annually」(年払い時の月額)です。1ユーロ=165円で換算すると約3,300円です(2026-10時点の概算。税・為替手数料は含みません)。問い合わせ1件の通知は1 execution と数えます。月の上限に達すると、その後の実行はエラーで失敗し、通知は送られません。上限は暦月の初めにリセットされます(出典: n8n サポート記事、2026-10-16 確認)。料金とプランは n8n の公式の料金ページ(https://n8n.io/pricing/)で確認できます。
すでに公開済みのサーバーを運用している方なら、セルフホスト版で十分です。セルフホスト版に実行回数の課金はありません。
手順4: フォームの送信先を n8n にする
- Webhook ノードの本番用 URL(
https://…/webhook/inquiry)を控える - ワークフローを公開(publish)する。n8n 2.0 以降は、有効化を「公開」と呼びます
- フォームの送信先をその URL にし、
name・messageなどの項目を POST で送る設定にする - テスト送信し、LINE に届くか確かめる
テスト用 URL(/webhook-test/…)は、エディタでテストの実行を始めたときに使う URL です。わたしたちの検証では、エディタで実行していない状態でテスト用 URL を呼ぶと 404 が返りました(2.43.7・1.121.0)。フォームには本番用 URL を設定してください。
手順5: ワークフロー JSON を使う
検証に使ったワークフローを配布しています。
- ダウンロード: form-line.json
- n8n のエディタで、右上のメニュー(…)から「Import from File」を選ぶ
- HTTP Request ノードの URL・
to・Authentication を自分の値に替える
配布 JSON は検証の都合で、値を環境変数($env)から読む形です。n8n は既定で $env を式から読ませないため、そのままでは ExpressionError: access to env vars denied で止まります(2.43.7・1.121.0 で確認)。実運用では、トークンを Credentials に替えてください。n8n から書き出した JSON には Credential の名前と ID が含まれます。共有前に消してください。
うまく動かないとき
| 症状 | 原因と対処 |
|---|---|
| 通知のお名前が空になる | $json.body.name と書いているか確認する |
| フォームから送ると 404 | テスト用 URL を使っていないか、ワークフローを公開したか確認する |
| LINE で 401 | チャネルアクセストークンの値と Bearer の付け方を確認する |
| 200 なのに届かない | 送り先が友だち追加しているか、ブロックしていないか確認する |
| 429 が返る | レート制限(2,000リクエスト/秒)か、月の通数上限です |
まとめ
- LINE Notify は2025年3月31日に終了しました。代わりは Messaging API のプッシュメッセージです
- n8n では Webhook で受け、HTTP Request で LINE の API を呼びます。値は
$json.bodyの下です - プッシュメッセージは送信対象の人数で数えます。1人宛てで月200通以内なら、コミュニケーションプラン(¥0)で始められます
- セルフホストは公開設定が必要です。手間を省くなら n8n Cloud が選択肢です
n8n Cloud を試すなら、n8n Cloud の14日間の無料試用から始められます。
参考にした公式情報
(いずれも 2026-10-16 確認)
- LINE Notify 終了のお知らせ: https://notify-bot.line.me/closing-announce
- Messaging API プッシュメッセージ: https://developers.line.biz/ja/reference/messaging-api/#send-push-message
- LINE公式アカウント 料金プラン: https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan/
- 追加メッセージ料金の改定: https://www.lycbiz.com/jp/news/line-official-account/20261001/
- Messaging API メッセージ配信数の数え方: https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/pricing/
- チャネルアクセストークン: https://developers.line.biz/ja/docs/basics/channel-access-token/
- ユーザー ID を取得する: https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/getting-user-ids/
- n8n Line ノード(非推奨): https://docs.n8n.io/integrations/builtin/app-nodes/n8n-nodes-base.line/
- n8n 料金: https://n8n.io/pricing/
- n8n Cloud の無料試用: https://docs.n8n.io/manage-cloud/cloud-free-trial/
- n8n ワークフローのエクスポート・インポート: https://docs.n8n.io/workflows/export-import/
- n8n Webhook URL の設定: https://docs.n8n.io/hosting/configuration/configuration-examples/webhook-url/
- n8n HTTP Request の認証(Header auth): https://docs.n8n.io/integrations/builtin/credentials/httprequest/
- n8n 実行回数の上限: https://support.n8n.io/article/can-you-reset-my-executions
- n8n 2.0 の破壊的変更: https://docs.n8n.io/changelog/v20-breaking-changes
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