業務自動化の受託をしているエンジニアとして、n8n(セルフホスト版 2.43.7)で kintone → Chatwork 通知を、公式の API 仕様に沿った模擬サーバーで動かして確かめた内容です。Make は使っておらず、公式情報を確認した解説です。
受託でツールを選ぶときも、最初に聞くのは「1日に何件、どれくらいの間隔で処理したいか」です。料金表だけでは決まらず、件数と間隔を当てはめて初めて比べられます。
結論:1日数百件までは Make Core、それを超えると n8n が安い
下の試算は、1時間ごとに新しいレコードを確認する作りで、年払いの価格で比べたものです。
- 1日およそ320〜640件まで(Make の消費が月20,000クレジットに収まる範囲)は、Make Core のほうが安いです。1日10件・100件なら、Make Core(年払い $9、約1,350円)で足ります。n8n Cloud Starter(年払い 20€、約3,300円)より安くなります
- それを超えて1日1,000件ほどになると、n8n Starter のほうが安いです。n8n は何件処理しても「1回の実行で1回」と数えるため、件数が増えても回数は変わりません
- 幅があるのは、Make の分割モジュールが件数分クレジットを使うかを、公式で確認できていないためです(後述)
- 確認の間隔を15分ごとに縮めると、n8n は Pro が必要になり、1日1,000件でも Make のほうが安いか同程度になります
- 社内にサーバーを保守できる人がいるなら、無料のセルフホスト版 n8n が合う場合もあります(後述)
料金の基本(2026-10-16 時点)
円換算は1ユーロ=165円、1ドル=150円で換算した概算です(2026-10時点)。税・為替手数料は含みません。
n8n Cloud(ユーロ建て)
| プラン | 年払い時の月額 | 円換算 | 月払いの月額 | 円換算 | 実行回数/月 |
|---|---|---|---|---|---|
| Starter | 20€(billed annually) | 約3,300円 | 24€(billed monthly) | 約3,960円 | 2,500 |
| Pro | 50€(billed annually) | 約8,250円 | 60€(billed monthly) | 約9,900円 | 10,000 |
(出典: n8n 料金ページ、2026-10-16 確認)
- Business プランはセルフホスト専用で、Cloud にはありません
- n8n はワークフローを1回動かすと1回と数えます。中の処理が何ステップでも、何件処理しても1回です
- Cloud で月の上限に達すると、それ以降の実行は待たされずにエラーで失敗します。上限は暦月の初めに戻り、失敗した実行は回数に数えません(出典: n8n サポート記事、2026-10-16 確認)
- Cloud は14日間の無料試用があり、試用中の上限は1,000実行です(出典: n8n Docs「Cloud free trial」、2026-10-16 確認)
Make(ドル建て)
月10,000クレジットを選んだときの価格です。
| プラン | 年払い時の月額 | 円換算(年払い) | 月払いの月額 | 円換算(月払い) |
|---|---|---|---|---|
| Free | $0(月1,000クレジット) | 0円 | $0 | 0円 |
| Core | $9 | 約1,350円 | $10.59 | 約1,590円 |
| Pro | $16 | 約2,400円 | $18.82 | 約2,820円 |
| Teams | $29 | 約4,350円 | $34.12 | 約5,120円 |
(出典: Make 料金ページ、2026-10-16 にブラウザで確認)
クレジットを増やすと価格も上がります。段は 10,000 → 20,000 → 40,000 → 80,000 → 150,000 で、60,000 の段はありません。
| クレジット/月 | Core 年払い | 円換算 | Core 月払い | 円換算 |
|---|---|---|---|---|
| 10,000 | $9 | 約1,350円 | $10.59 | 約1,590円 |
| 20,000 | $16 | 約2,400円 | $18.82 | 約2,820円 |
| 40,000 | $29 | 約4,350円 | $34.12 | 約5,120円 |
| 80,000 | $55 | 約8,250円 | $64.71 | 約9,710円 |
10,000 クレジットの年払いの価格(Core $9・Pro $16・Teams $29)は、2026-10-17 に公式の料金ページで確認しました。20,000 クレジット以上の段と月払いの価格は、契約の前に公式の料金ページ(クレジット数のスライダーと支払い方法の切り替え)でご確認ください。
(出典: Make 料金ページのスライダー、2026-10-16 確認)
- Make はモジュール(処理の1部品)が1回動くと1クレジットが基本です(出典: Make ヘルプ「Credits」)
- クレジットが尽きると、シナリオ(Make の自動化の単位)は止まります(出典: Make 料金ページ FAQ)
同じ処理で数えてみる:kintone → Chatwork 通知
n8n で実際に動かしたのは、次の4ノードのワークフローです。ノードは処理の1ステップのことです。
- 手動で実行(本番ではスケジュール実行に置き換え)
- HTTP Request で kintone から「ステータスが新規」のレコードを取得
- Code でレコードを1件ずつに分ける
- HTTP Request で Chatwork に投稿
テスト用のレコード2件に対して、Chatwork への投稿が2回送られたことを確かめました(模擬サーバーで検証)。手順は「n8n で kintone の新規レコードを Chatwork に通知する手順」にまとめています。
Make で同じことをするなら、Make の kintone アプリ(Verified)のトリガー「Watch Records」で新しいレコードを受け、Chatwork アプリの「Create a Room Message」で投稿する作りが自然です。この作りなら分割のモジュールは要りません。
Make の数え方で、公式に確認できたのは次の点です(出典: Make ヘルプ・Academy、2026-10-16 確認)。
- トリガーは、返すデータの件数によらず1回で1クレジット
- 定期実行で新しいデータがない回も、トリガーは1クレジットを使う
- アクション(投稿など)は、処理するデータ1件ごとに1クレジット
- 分岐(Router)とエラー処理は数えない
| n8n | Make(未検証の見積もり) | |
|---|---|---|
| 数える単位 | ワークフローの実行1回 | モジュールの実行1回 |
| 新しいレコードの確認 | 数えない | 1(件数によらず) |
| 1件ずつに分ける | 数えない | Watch Records なら不要。HTTP+分割(Iterator)で組むなら件数分かもしれない(未確認) |
| Chatwork に投稿 | 数えない | 2(2件分) |
| 合計(2件の場合) | 1 execution | 3〜5クレジット |
Make の数字は公式の数え方を当てはめた計算で、Make では動かしていません。下限の3は kintone アプリで組んだ場合です。上限の5は、HTTP で取得して分割(Iterator)を使い、分割が件数分クレジットを使うと仮定した場合です。分割の数え方は公式ページで確認できませんでした。
月の件数別の試算
前提は「1時間に1回確認(1日24回、月30日で720回)」です。どちらも、新しいレコードがない回も数えます。
自分の件数で見積もる式
- n8n の実行回数 = 月の確認回数(件数によらず一定。1時間ごとなら720回)
- Make の下限 = 月の確認回数 + 月の件数 × 1(投稿)
- Make の上限 = 月の確認回数 + 月の件数 × 2(分割と投稿。分割の数え方は未確認)
モジュールを足せば、そのぶん「月の件数 × モジュールの数」が増えます。Make はシナリオに置いたモジュールの数と件数の掛け算で考える、と覚えておくと見積もりやすくなります。
| 1日の件数 | 月の件数 | n8n の実行回数 | n8n の月額(年払い) | Make のクレジット(下限〜上限) | Make の月額(年払い) | 安いほう |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 10件 | 300件 | 720 | Starter 約3,300円 | 1,020〜1,320 | Core 10,000 約1,350円 | Make |
| 100件 | 3,000件 | 720 | Starter 約3,300円 | 3,720〜6,720 | Core 10,000 約1,350円 | Make |
| 300件 | 9,000件 | 720 | Starter 約3,300円 | 9,720〜18,720 | Core 10,000〜20,000 約1,350〜2,400円 | Make |
| 500件 | 15,000件 | 720 | Starter 約3,300円 | 15,720〜30,720 | Core 20,000〜40,000 約2,400〜4,350円 | 作り方しだい |
| 1,000件 | 30,000件 | 720 | Starter 約3,300円 | 30,720〜60,720 | Core 40,000〜80,000 約4,350〜8,250円 | n8n |
(月払いでも安いほうは変わらない。円換算は1ユーロ=165円、1ドル=150円。税・為替手数料は含まない)
どちらが安いかの分かれ目
- n8n Starter(約3,300円)は、Make Core の 20,000 クレジットの段(約2,400円)より高く、40,000 の段(約4,350円)より安い位置にあります
- そのため、Make の消費が月20,000クレジットに収まるなら Make Core、超えるなら n8n Starter が安い、が分かれ目です
- 1時間ごとの確認なら、20,000 から確認の720を引いた分が件数に使えます。1件1クレジットなら1日およそ640件、1件2クレジットなら1日およそ320件までです
- n8n 側は、1回の実行で複数件をまとめて処理する作りが前提です。1件ごとにワークフローを動かす作り(Webhook で1件ずつ受けるなど)では、n8n も件数と同じ回数を数えます
- 月払いで比べても、分かれ目は同じ20,000クレジットです。n8n Starter は24€(約3,960円)で、Make Core の 20,000 の段($18.82、約2,820円)より高く、40,000 の段($34.12、約5,120円)より安くなります
Make の Free(月1,000クレジット)に収まる条件
1時間ごとの確認だけで、月720クレジットを使います。1日10件(月300件)でも、合計は1,020以上になり Free を超えます。
Free に収まりやすいのは、次のような場合です。
- 確認の間隔を延ばす(1日1回なら確認は月30クレジット)
- kintone の Webhook で、レコードが追加されたときだけ受け取る作りにする。受信1回は1クレジットと読めますが、それを明記した公式の文は確認できていません。1件あたり2〜3クレジットなら、月300〜500件ほどまでが目安です
実行の間隔にも注意
n8n は件数ではなく実行回数で数えるため、間隔を短くすると回数が増えます。15分ごとなら1日96回、月2,880回です。Starter の2,500を超えるので、Pro(約8,250円)が必要になります。
同じ15分ごとでも、Make は確認が月2,880クレジットになるだけです。1日1,000件でも 32,880〜62,880 で、Core 40,000〜80,000 の段(約4,350〜8,250円)に収まります。15分ごとに確認するなら、1日1,000件でも Make のほうが安いか同程度です。
なお、Make の無料プランは最短の実行間隔が15分、有料プランは最短1分です(出典: Make Academy、2026-10-16 確認)。
大量の通知で気をつけること
1日1,000件を1時間ごとに処理すると、1回あたり40件ほどを続けて投稿します。これは Chatwork 側の制限にかかるおそれがあります。投稿は「同じルームへの投稿とタスク作成の合計で10秒あたり10回」までです(出典: Chatwork API ドキュメント、2026-10-16 確認)。件数が多いときは、複数件を1通にまとめる設計も検討してください。まとめれば、Make の投稿分のクレジットも減ります。
どちらが向くか
| 状況 | 向くもの |
|---|---|
| 1日数百件まで(Make の消費が月20,000クレジット以内) | Make Core |
| 1日1,000件ほど以上を、1時間ごとなどにまとめて処理する | n8n Cloud Starter |
| 15分ごとなど、短い間隔で何度も確認する | 試算してから選ぶ(n8n は回数が増え、Pro が必要になりやすい) |
| 月の件数が少なく、確認を1日数回にできる | Make(まず Free で試す) |
| kintone・Chatwork を画面の部品だけでつなぎたい | Make(kintone・Chatwork の「Verified」アプリがある) |
| 社内にサーバーを保守できる人がいる | n8n セルフホスト版(無料) |
n8n には kintone・Chatwork の組み込みノードがありません。HTTP Request ノードで API を直接呼びます(出典: n8n の GitHub リポジトリ、2026-10-16 確認)。一方、Make には kintone と Chatwork の「Verified」のアプリがあります(出典: Make Integrations、2026-10-16 確認)。
どちらも無料で試せます。n8n Cloud は14日間の試用で実際の実行回数を、Make は Free のままで実際のクレジット消費を確かめられます。公式サイトは n8n(https://n8n.io/)、Make(https://www.make.com/)です。
セルフホスト版のほうが合う場合
次の方には、無料のセルフホスト版 n8n(Community Edition)が合います。
- Docker などでサーバーを立て、更新やバックアップを続けられる人が社内にいる
- 自社の業務のために使う(ライセンス上、社内利用は認められています)
- 実行回数を気にせず、細かい間隔で動かしたい
Community Edition はライセンスキーなしで動く無料版です。ただし、ワークフローの共有や SSO など一部の機能はありません(出典: n8n Docs「Community Edition features」、2026-10-16 確認)。サーバー代と保守の手間は自分で持つことになります。他社向けに有償で提供する場合は、公式のライセンス条件を確認してください。詳しくは「n8n Cloud とセルフホスト版、どちらを選ぶか」で比べています。
まとめ
- n8n は「実行1回で1」、Make は「モジュール1回で1クレジット」と数えます
- 1時間ごとの確認なら、1日数百件までは Make Core のほうが安く、1日1,000件ほどになると n8n Starter のほうが安くなります
- 分かれ目は「Make の消費が月20,000クレジットに収まるか」です。確認の間隔を短くすると、n8n の回数も増えます
- 保守できる人がいれば、無料のセルフホスト版 n8n も選択肢です
実際の件数で試すなら、n8n Cloud の14日間の無料試用か、Make の無料プランから始められます。
参考にした公式情報
- n8n 料金ページ: https://n8n.io/pricing/ (2026-10-16 確認)
- n8n Docs: Cloud free trial: https://docs.n8n.io/manage-cloud/cloud-free-trial/ (2026-10-16 確認)
- n8n サポート: 実行回数の上限: https://support.n8n.io/article/can-you-reset-my-executions (2026-10-16 確認)
- n8n Docs: Community Edition features: https://docs.n8n.io/hosting/community-edition-features/ (2026-10-16 確認)
- n8n ライセンス: https://github.com/n8n-io/n8n/blob/master/LICENSE.md (2026-10-16 確認)
- n8n 組み込みノード一覧: https://github.com/n8n-io/n8n/tree/master/packages/nodes-base/nodes (2026-10-16 確認)
- Make 料金ページ: https://www.make.com/pricing (2026-10-16 確認)
- Make Help: Credits: https://help.make.com/credits (2026-10-16 確認)
- Make Help: Operations: https://help.make.com/operations (2026-10-16 確認)
- Make Help: Step 9 Test your scenario: https://help.make.com/step-9-test-your-scenario (2026-10-16 確認)
- Make Academy: クレジットの消費: https://academy-content.make.com/courses/make-foundation-operations-credits/02-credit-consumption-in-make (2026-10-16 確認)
- Make Academy: スケジュール実行: https://academy-content.make.com/courses/make-basics-modules/05-scheduling-your-scenario/ (2026-10-16 確認)
- Make: kintone: https://www.make.com/en/integrations/kintone (2026-10-16 確認)
- Make: Chatwork: https://www.make.com/en/integrations/chatwork (2026-10-16 確認)
- Chatwork API: エンドポイントについて: https://developer.chatwork.com/docs/endpoints (2026-10-16 確認)
料金の試算と構築のご相談
自社の件数と間隔で、どのツール・どのプランが合うかを試算したい方はご相談ください。合同会社frectas では、処理したい業務の件数と頻度を確かめたうえで、n8n・Make・GAS などから合うものを選び、構築と運用まで担当します。お問い合わせからご連絡ください。