業務自動化の受託をしているエンジニアとして、n8n(セルフホスト版 2.43.7。2026-10-16 時点の最新の安定版)を Docker で動かして確かめた手順です。最初に 1.121.0 で検証し、2.43.7 でも同じ結果になりました。kintone の Webhook と同じ形の JSON を手元から n8n に送り、Chatwork への投稿を模擬サーバーで受けて確認しました。本物の kintone・Chatwork には接続していません。
問い合わせや受注が kintone に入ったら、担当者がすぐ気づける。それだけでも対応の遅れや取りこぼしは減ります。その一番小さな仕組みとして、登録の瞬間に Chatwork へ知らせる方法をまとめました。
結論
- kintone の Webhook は、レコードの追加・編集・削除などのときに、指定した URL へ内容を送る機能です(出典: kintone ヘルプ Webhook、2026-10-16 確認)
- 送られる内容の
typeで操作を見分けられます。新規登録はADD_RECORDです - n8n では Webhook ノードで受け、IF ノードで
typeがADD_RECORDのときだけ Chatwork に送ります。検証では、新規だけが通知され、編集・削除は通知されませんでした(kintone 形式の模擬データで検証) - ライトコースでは Webhook を使えません
検証の範囲
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| セルフホストで確かめたこと(2.43.7・1.121.0) | Webhook ノードで kintone 形式の JSON を POST で受けること、IF ノードの分岐、Chatwork(模擬)への投稿の中身、エディタで実行していないときにテスト用 URL が 404 を返すこと |
| 公式情報で確認しただけのこと | kintone Webhook の送信内容のキー・制限、通知が JSON 形式であること、送信先が HTTPS 前提であること、Chatwork API の仕様・レート制限 |
| 確かめていないこと | 本物の kintone からの送信(HTTP メソッド・Content-Type を含む)、kintone の Webhook 設定画面の操作、送信に失敗したときの再送、インターネット越しの到達 |
定期実行と Webhook の違い
| 項目 | 定期実行(Schedule Trigger) | Webhook |
|---|---|---|
| 通知の早さ | 実行間隔ぶん遅れる | 登録の直後 |
| 二重通知 | 対策が要る(通知済みの印など) | 起きにくい |
| n8n Cloud の実行回数 | 新規がなくても毎回数える | kintone からの送信1回につき1回 |
| n8n の公開 | 不要 | 必要(セルフホストの場合) |
| CSV の一括読み込み | 拾える | 通知されない |
定期実行で組む方法は「n8n で kintone の新規レコードを Chatwork に通知する手順」で解説しています。
kintone の Webhook で送られる内容
type の値は次の5つです(出典: kintone ヘルプ「Webhook の通知内容」)。
| type | 操作 |
|---|---|
ADD_RECORD |
レコードの追加 |
UPDATE_RECORD |
レコードの編集 |
UPDATE_STATUS |
ステータスの更新 |
DELETE_RECORD |
レコードの削除 |
ADD_RECORD_COMMENT |
コメントの書き込み |
追加・編集・ステータス更新では id・type・app(id・name)・record・recordTitle・url が送られます。削除では record がなく、recordId・deletedBy・deletedAt が送られます。
制限もあります。
- Webhook は1アプリに10個まで
- 送信はドメイン単位で1分間に60回まで。61回目以降は送信されない
- Excel・CSV の読み込み、複数レコードの一括削除、一括操作の REST API では通知されない
手順1: n8n にワークフローを作る
構成は4ノードです。
| 順 | ノード | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | Webhook | kintone からの送信を受ける |
| 2 | IF | type が ADD_RECORD かを見分ける |
| 3 | HTTP Request(true 側) | Chatwork に投稿する |
| 4 | No Operation(false 側) | 何もしない |
- Webhook ノードを置き、HTTP Method を「POST」、Path を
kintone-recordにする - Respond を「Immediately」にする
- IF ノードを置き、条件の左に
{{ $json.body.type }}、比較を「is equal to」、右にADD_RECORDを入れる - IF の true 側に HTTP Request ノードをつなぎ、Method「POST」、URL
https://api.chatwork.com/v2/rooms/(ルームID)/messagesにする - Authentication で「Header auth」の Credential を選ぶ。Name は
X-ChatWorkToken、Value は Chatwork の API トークン - Body Content Type を「Form Urlencoded」にし、名前
body、値に通知文を入れる - IF の false 側に No Operation ノードをつなぐ
Chatwork の本文は JSON ではなく form 形式(body=…)で送ります(出典: Chatwork API リファレンス、2026-10-16 確認)。Credentials は、トークンを n8n に保管する機能です。
通知文の例です。
[info][title]kintone に新しいレコード({{ $json.body.app.name }})[/title]会社名: {{ $json.body.record['会社名'].value }}
担当者: {{ $json.body.record['担当者'].value }}
レコード番号: {{ $json.body.record['$id'].value }}
{{ $json.body.url }}[/info]
会社名・担当者 は、ご自分のアプリのフィールドコードに替えてください。
つまずき点1: 値は body の下、さらに .value まで
kintone の送信内容は、Webhook ノードでは $json.body の下に入ります。さらにフィールドは {"type": …, "value": …} の形なので、.value まで書きます。$json.record['会社名'] と書くと値が取れません。
つまずき点2: IF を先に置く
削除の送信には record がありません。IF で type を先に見分ければ、record を読む式が削除のときに動かず、エラーになりません。
手順2: 公開して、本番用 URL を控える
- ワークフローを保存し、公開(publish)する。n8n 2.0 以降は、有効化を「公開」と呼びます
- Webhook ノードの本番用 URL(
https://…/webhook/kintone-record)を控える
検証では、エディタで実行していない状態でテスト用 URL(/webhook-test/kintone-record)に送ると 404 が返り、「The requested webhook "kintone-record" is not registered.」と表示されました。GET で呼んだ場合も 404 でした(「This webhook is not registered for GET requests.」)。テスト用 URL は、エディタでテストの実行を始めたときに使うものです。kintone には本番用 URL を登録してください。
手順3: n8n を kintone から呼べるようにする
kintone はクラウドから n8n の URL に送るので、n8n がインターネットから届く必要があります。
| 使い方 | 必要な作業 |
|---|---|
| n8n Cloud | なし。本番用 URL をそのまま登録できる |
| セルフホスト | n8n を HTTPS の URL で公開する設定が必要 |
kintone の Webhook の送信先 URL 欄は、https:// が最初から入った作りで、HTTPS の URL が前提です(出典: kintone ヘルプ Webhook、2026-10-16 確認)。セルフホストでは、リバースプロキシの後ろで動かすなら、環境変数 N8N_WEBHOOK_URL に公開 URL を指定します。以前の WEBHOOK_URL は 2.35.0 から非推奨です(出典: n8n Docs、2026-10-16 確認)。公開すると n8n の画面もインターネットから見える状態になりえます。管理者パスワードと更新の管理が欠かせません。
公開済みのサーバーを運用している方は、セルフホスト版で十分です。実行回数の課金もありません。サーバーの公開や管理を避けたい方には n8n Cloud が向いています。14日間の無料試用があり、上限は1,000 executions です(出典: n8n Docs Cloud free trial、2026-10-16 確認)。
手順4: kintone に Webhook を登録する
- kintone アプリの設定画面で、Webhook の設定を開く
- 手順2の本番用 URL を登録する
- 通知するタイミングに「レコードの追加」を選ぶ
- 設定を保存し、アプリを更新する
- テストのレコードを1件登録し、Chatwork に届くか確かめる
画面の項目名は kintone の公式ヘルプで最新の表記を確認してください。
kintone の通知は JSON 形式で送られます。一方、HTTP メソッドと Content-Type を明記した公式ページは見つけられませんでした。本記事の n8n 側は POST で受ける設定にし、kintone 形式の模擬データを POST で送って検証しています。本物の kintone から届くかは、運用を始める前にテストのレコードで確かめてください。kintone のアプリ設定には Webhook ごとの実行ログ(直近10件、成否・日時など)があり、届かないときの手がかりになります。
通知のタイミングを「追加」だけにしておけば、編集・削除はそもそも送られません。それでも IF を入れておくと、設定を変えたときの誤通知を防げます。
検証の結果
kintone の送信内容と同じキーの JSON を3種類、curl で本番用 URL に POST しました。
| 送った type | n8n の応答 | 実行結果 | Chatwork への投稿 |
|---|---|---|---|
ADD_RECORD |
{"message":"Workflow was started"} |
成功 | 1回 |
UPDATE_RECORD |
同上 | 成功(何もしない側) | なし |
DELETE_RECORD |
同上 | 成功(何もしない側) | なし |
Chatwork(模擬)に届いたのは1件だけでした。
POST /v2/rooms/12345/messages、Content-Type: application/x-www-form-urlencoded、ヘッダーX-ChatWorkToken- 本文:
[info][title]kintone に新しいレコード(問い合わせ管理)[/title]会社名: テスト商事、担当者・レコード番号・レコードの URL が続く
編集・削除は「失敗」ではなく、「何もしない側に流れて成功」として実行履歴に残りました。
n8n Cloud では編集・削除も1回と数える
n8n Cloud は、1回のワークフロー実行を1 execution と数えます(出典: n8n 料金ページ、2026-10-16 確認)。検証では編集・削除も実行として記録されました。kintone で「編集」も通知対象にしていると、通知しない編集でも実行回数が増えます。kintone 側のタイミングは「追加」だけにするのがおすすめです。
Starter は月2,500 executions(年払い時の月額 20€)なので、新規登録が月2,500件を超えなければ Starter の範囲に収まる計算です。上限に達すると、その後の実行はエラーで失敗し、通知は送られません。上限は暦月の初めにリセットされます(出典: n8n サポート記事、2026-10-16 確認)。
注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 一括登録 | CSV の読み込みなどでは Webhook が送られません。一括登録が多いアプリは、定期実行と組み合わせる |
| 送信の上限 | ドメイン単位で1分間60回まで。超えた分は送られない |
| Chatwork の上限 | 同じルームへの投稿とタスク作成の合計で10秒あたり10回、API 全体で5分あたり300回まで(出典: Chatwork API エンドポイント、2026-10-16 確認) |
| 送信失敗時 | kintone が再送するか、何秒でタイムアウトするかは公式ヘルプに記載がなく、未確認。一部が失敗する原因としてヘルプは、1分60回超、1MB 超の通知データ、タイムアウト、送信先の停止を挙げています |
| URL の扱い | 本番用 URL を知っていれば誰でも送れます。kintone 側で認証ヘッダーを付けられるかは、公式ヘルプに設定項目の記載がなく未確認です。ここでは送信先 URL しか設定できない前提で、推測されにくい Path にし、IF に $json.body.app.id の確認を足して誤送信を減らします。Webhook の守り方は「n8n を社内に導入するときのセキュリティ確認項目」にまとめました |
通知の先:受注を取りこぼさない仕組みにするなら
通知は「気づく」ための仕組みです。受注そのものを自動で登録する段階に進むと、考えることが増えます。わたしたちが FAX・メールで届く注文書を読み取って受注登録する仕組みを作ったときは、次のようにしました。
- 受け取りと読み取りを分ける。 受け取った時点では AI を呼ばず、原本を先に保存してから読み取りに回す
- 同じものが2回届いても、受注を二重に作らない。 添付ごとに処理の状態を持ち、再送が来ても重複しないようにする
- 受注にならなかったものを消さない。 読み取れなかった添付は、人が画面で判断するまで未対応の一覧に残す
上の注意点のとおり、kintone の Webhook も送信に失敗したときの再送の扱いが公式ヘルプで確認できていません。通知だけなら届かなかった分を人が見ればすみますが、受注の登録まで自動にするなら、取りこぼしと二重登録の対策を最初に決めておくことをおすすめします。
ワークフロー JSON
検証に使ったワークフローを配布しています。
- ダウンロード: kintone-webhook-chatwork.json
n8n のエディタで、右上のメニュー(…)から「Import from File」を選んで読み込みます。配布 JSON は検証の都合で値を環境変数($env)から読む形です。n8n は既定で $env を式から読ませないため、そのままでは ExpressionError: access to env vars denied で止まります(2.43.7・1.121.0 で確認)。Chatwork の URL・ルーム ID・Authentication を自分の値と Credential に替えてください。書き出した JSON には Credential の名前と ID が含まれるので、共有前に消してください。
まとめ
- kintone の Webhook を n8n で受ければ、登録の直後に Chatwork へ通知できます(ライトコースは不可)
- 値は
$json.body.record['フィールドコード'].valueで読みます - IF で
typeがADD_RECORDのときだけ通知すると、編集・削除は通知されません(kintone 形式の模擬データで検証) - CSV の一括登録は通知されないので、必要なら定期実行と組み合わせます
n8n Cloud を試すなら、n8n Cloud の14日間の無料試用から始められます。
参考にした公式情報
(いずれも 2026-10-16 確認)
- kintone Webhook: https://jp.kintone.help/k/ja/user/app_settings/set_webhook/webhook.html
- kintone Webhook の通知内容: https://jp.kintone.help/k/ja/user/app_settings/set_webhook/webhook_notification.html
- kintone Webhook(送信先 URL・実行ログ): https://jp.kintone.help/k/ja/app/set_webhook/webhook 、https://jp.kintone.help/k/ja/app/set_webhook/webhook_notification 、https://jp.kintone.help/k/ja/app/set_webhook/webhook_logs
- Chatwork メッセージ投稿: https://developer.chatwork.com/reference/post-rooms-room_id-messages
- Chatwork エンドポイント(レート制限): https://developer.chatwork.com/docs/endpoints
- n8n 料金: https://n8n.io/pricing/
- n8n Cloud の無料試用: https://docs.n8n.io/manage-cloud/cloud-free-trial/
- n8n ワークフローのエクスポート・インポート: https://docs.n8n.io/workflows/export-import/
- n8n Webhook ノード: https://docs.n8n.io/integrations/builtin/core-nodes/n8n-nodes-base.webhook/
- n8n Webhook URL の設定: https://docs.n8n.io/hosting/configuration/configuration-examples/webhook-url/
- n8n HTTP Request の認証(Header auth): https://docs.n8n.io/integrations/builtin/credentials/httprequest/
- n8n 実行回数の上限: https://support.n8n.io/article/can-you-reset-my-executions
- n8n 2.0 の破壊的変更: https://docs.n8n.io/changelog/v20-breaking-changes
受付・受注の自動化のご相談
kintone に入った問い合わせにすぐ気づける仕組みから、FAX・メールで届く注文の受付まで、段階に合わせてお手伝いします。合同会社frectas では、どこまでを自動にし、どこで人が確認するかを業務に合わせて決め、通知や受付の仕組みを組んで運用まで担当します。お問い合わせからご相談ください。