図面から、部屋ごとの値を書き写していた
建物の設計図面には、平面図・立面図・断面の詳細図・仕様書がある。部屋ごとに、用途・階・名前・部屋の条件・高さと、壁・天井・床ごとの隣の部屋と寸法を読み取り、Excel の入力シートへ手で書き写していた。図面は1案件で数十ページある。
PoC を一度やり直した
最初の検証では、抜き出した一部のファイルで方式を試した。入力が少なく、正解のデータも自分たちで作ったものだったので、その数字を信じてよいとは言えなかった。そこで最初からやり直した。
二回目は、受け取った図面をすべて機械的に棚卸しするところから始めた。すると、スキャンした画像だけの案件が実際にあり、「すべてベクタ形式の PDF」という最初の前提が崩れることが分かった。
生成 AI に、正確さを求めない
図面全体に効く一つのルールを探すのをやめた。生成 AI には部屋の輪郭を大まかになぞらせ、数十センチずれてもよいことにした。正確な座標と面積は、プログラムが図面のベクタの線に吸着させて出す。AI が判断するのは「どの壁か」で、正確な位置は図面のデータが持っている、という分担だ。
本番の仕組みでは、部屋の名前の候補を確かめ、選んだ部屋の輪郭と床面積を確かめ、保存したうえで手で直し、Excel に出力する。元の図面の文字と位置を画面で確かめられる。
測り方のほうが難しかった
評価の指標に欠陥を作り込んでは直す、ということを11回繰り返した。うち2回は自分では気づけず、AI に画像を見せたときの指摘で分かった。一度報告した数字が、部屋どうしがくっついて見える誤りを隠していたと分かり、正しい測り方に直して取り下げたこともある。
見直しの工程を足す案も、1ページで試した。時間が約28%、費用が約25%増えたのに、結果は変わらなかった。効かない工程は本番に入れていない。